Home > 事業案内 > 研究事業部 > [報告書] 精神障害者の自立支援サービス計画に関する調査研究事業
当報告書の付録 :
精神障害者の自立支援サービス計画事例集 »
今、日本の精神保健医療福祉は改革の真っ只中にある。国の施策で、二つの大きなことがあった。ひとつは、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が打ち出されたことである。もうひとつは障害者自立支援法の成立である。
平成16年9月2日に、厚生労働省に設けられた精神保健福祉改革本部より「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が打ち出された。「ビジョン」では、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的な方策が打ち出され、それを実現するために、国民意識の変革の達成目標、精神保健医療福祉体系の再編の達成目標が掲げられ、「受け入れ条件が整えば退院可能な者約7万人について10年後の解消を図る」とされた。これらの目標を達成するために、国、都道府県、市町村において計画的な取り組みを行うことが唱われている。
平成17年10月に障害者自立支援法が成立し、平成18年4月に施行された。この法律により、精神障害も、他の障害(身体、知的)と同じに扱われることになり、障害施策が一元化された。市町村が施策の実施主体となった。また、これまで33種類に分かれていた施設体系が6つの事業に再編され、併せて、地域生活支援や就労支援のための事業や重度の障害者を対象にしたサービスが創設された。さらに、自立支援サービスの支給に当たっては、これまで全国共通の利用ルールがなく、支給決定のプロセスが不透明であったのを、「支援の必要度」に関する客観的尺度(障害程度区分)を導入し、審査会の意見を聴取するなど、支給決定のプロセスが透明化するとされている。また、必要な財源の確保に関しては、国が費用の1/2を負担すること、利用者も応分の費用を負担し、皆で支える仕組みに再編された。
これからは、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を着実に実現して精神保健医療福祉のシステムの基盤整備を進めながら、ひとりひとりの精神障害者には、障害者自立支援法を大いに活用し、より良い自立支援サービスを提供して行かねばならない。
しかし、日本の精神保健医療福祉の改革は、今、やっと緒に就いたばかりである。果たして、障害者自立支援法を、ひとりひとりの精神障害にどのように適用すれば良いか、その際、障害程度区分はどのように役立てられるか、今後の基盤整備では、何をどのように整備するかなどなど、重要なことの殆どが、まだ具体的になっていない。
重要なことを具体的なものにするには「根拠」が必要である。その根拠を呈示するには、精神障害者と自立支援サービスに関する、様々な角度からの膨大な調査研究が欠かせない。今ほど調査研究が必要とされる時はないだろう。本研究班のささやかな調査研究も、その一環である。
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