Home > 事業案内 > JAMシンポジウム > 第2回シンポジウム
治療を円滑適切に行う為に患者さんに積極的に情報提供することは必要なことです。しかし精神科医療にあっては情報提供の仕方はケースに応じた慎重な配慮が求められます。ところが、本年1月1日に日本医師会が「診療情報の自主的な開示」方針を打ち出して以降、「情報開示とは機械的にカルテをコピーすることだ」という思い込みが広まっており、その為に精神科の医療現場で反発や混乱が引き起こされています。
一つの例ですが、クリニックから紹介状を付して病院に患者さんを紹介したところ、紹介先の担当医はその紹介状を含むカルテを丸ごとコピーして患者さんに手渡したそうです。コピーを見たことをきっかけに激しい家庭内暴力が起きた由。この例は「カルテ開示」に当たって「前医の紹介状」や「家族や第三者からの情報」の扱いについて、まず精神科医の間で明確なガイドラインが必要であることを示唆しています。
しかし精神科医療に於ける「カルテ開示」について「一般的に是か非かを論じる」ことは実際的ではありません。様々なケースに応じて細かく詰めながら実際的な対処方法を編み出して行くべきものと考えます。そこで今回の協議会ではもっぱら「具体的な事例を巡って参加者全員でもって、あるべき対処方法なりガイドラインを見つけ出して行く」ことを徹底して行ってゆきたいと思います。
現場の精神科医である私たちは日々の診療に追われており殆ど蛸壺の中にいるも同然です。しかしながら蛸壺の中に居ても、カルテ開示、介護保険制度、移送制度などなど、精神科医療に関連する新しい動向に否応もなく対応を迫られます。精神科医はかつてない難しい局面に立たされております。
次々に展開されてくる新しい動向に私たちが適切に対応するには、どうしても二つのことが必要になります。一つは今進行している事態について「正確な情報」を迅速に手にすること、そして、もう一つは現場の精神科医どうしで情報や経験を交換し「具体的で実際的な方針」を編み出す作業です。
今回の地域メンタルケア協議会では、前回の討議を踏まえて次の二つのことについて「情報交換」したいと思います。