Home > 事業案内 > JAMシンポジウム > 第10回シンポジウム
昨年12月24日に厚生労働省に設けられた「障害者施策推進本部」から「新障害者プラン」が発表になった。その中で、精神障害者施策に関しては「条件が整えば退院可能とされる約72,000人の入院患者について退院、社会復帰を目指す。このため、今後、更に総合的な推進方策を検討する」と記されている。このような数値目標が打ち出されたのは実に画期的なことである。
ところでその数値目標を実現するための「総合的な推進策」としてアメリカなどで行われている ACT: Assertive Community Treatment の導入が検討されているという。
いったい ACT とはどのようなものなのであろうか。既に日本でも本年4月から国立精神・神経センター国府台病院で ACT-J として試行的なプロジェクトがスタートしているという。それはどのようなものか。果たしてアメリカのモデルが日本でも有効なのか、ACT が日本の現状を打破する切り札となりうるのか。アメリカなどでは ACT の導入によって精神科病院の機能は急性期対応に限定され、精神科の医療・保健・福祉は「地域での生活支援」を軸としたものになっているという。果たして日本でそうした大転換がもたらされうるのだろうか。
今、注目を集めている ACT について熱く議論をしてみたいと思います。
精神科の医療・保健・福祉に関わっている多くの方々に参加を呼びかけます。
浜田 晋 (メンタルケア協議会理事長)
川瀬 典夫、羽藤 邦利
大島 巌(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野)
白石 弘巳(東京都精神医学総合研究所)
西尾 雅明(国立精神・神経センター精神保健研究所)
高橋龍太郎、羽藤邦利
佐久間 啓(あさかホスピタル)
窪田 彰(クボタクリニック)
会田 敏子(東京都立多摩精神保健福祉総合センター)
大久保 圭策、羽藤 邦利
泉 陽子(厚生労働省社会・援護局精神保健福祉課)
門屋 充郎(帯広ケア・センター)
高木 俊介(ウエノ診療所)
穂積 登
ACTのようなプログラムが日本でも必要であることを啓発、喧伝するために、メンタルケア協議会でもって大きめのシンポジウムを開催いたそうと思っております。
これまでのACTについてのシンポジウムはアメリカの人をお呼びしてお話をお聞きするスタイルでした。しかしアメリカの方のお話は、アメリカの背景事情が分かっていないので、日本人には今ひとつピント来ません。これから私たちがACTについて論議して行くには、ACTをじっくり見てきた方に日本人の視点から見てどうだったのか、どのようなことを取り入れるべきと考えられたのか、をお聞きするのが、分かりやすいし、手っ取り早いように思います。そうした狙いからシンポジウムの第1部は「ACT見聞論」としました。
第1部で ACT のおおよそのイメージを参加者に持っていただところで、第2部では、メンタルヘルスの主な現場でもって大いに頑張っておられる方に登場していただき、日頃どんな実践をし、どんな困難に直面しておられるのか、その困難を打破するにはどんなことが必要と考えておられるのか、ACT のようなプログラムが有効と思うかどうか、論じてもらいます。
第3部では、第1部、第2部を踏まえて、会場の参加者でもって自由に討論をしていただこうと思います。 これまでのメンタルケア協議会のシンポジウムでは、参加者は、精神科医が1/3から半分弱です。多職種が集ってひとつのテーマを論じるのが特色となっています。今回は300名を目標にしています。
フロアーから大いに発言出来るようにしています。フロアーからの発言を十分受けると盛り上がって参加された方の満足度が高まるように見ています。
色々な立場からの発言を大いに促すことの裏返しですが、特定の結論に誘導しないようにしています。シンポジウムの目標は、何かの結論のを得ることではなくて、取り上げたテーマについての関心を大いに高めることです。敢えて結論を出そうとしないので「立場に縛られている方」も安心して参加していただけます。
おおよそ企画はこのようです。6月末に、こうした企画を持つのは時宜を得ているのではないかと考えています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
平成15年4月17日
メンタルケア協議会 事務局 羽藤 邦利
東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野
1986年東京大学大学院博士課程保健学専門課程修了(保健学博士)。国立精神・神経センター精神保健研究所室長、東京都立大学社会福祉学科助教授を経て、現在東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野助教授。2001年10月から2002年7月まで、アメリカ・ペンシルバニア大学精神保健政策サービス研究センターにおいて在外研究を行う。
東京都精神医学総合研究所
東京医科歯科大学医学部、同大学院卒業。1979年医籍登録。精神保健指定医、介護支援専門員資格所得。勤務歴:横浜共済病院内科、正慶会栗田病院精神科、埼玉県立精神保健総合センターを経て、1996年4月より東京都精神医学総合研究所勤務。現在、社会精神医学研究系長(精神保健医療システム研究部門)。所属学会:日本精神神経学会(法と精神医療に関する委員会委員)、日本病院地域精神医学会(理事)、日本精神科救急学会(評議員)、法と精神医療学会(理事)など。
精神医療に関する法やシステム、精神科救急、成年後見制度、家族、患者に対する心理教育など。
国立精神・神経センター精神保健研究所
昭和63年、東北大学医学部卒。内科研修後、平成2年に東北大学精神科に入局。清水病院、仙台市デイケアセンター等で臨床修練し、平成7年より東北大学医学部附属病院精神科助手となる。平成9年9月から1年半程、ロンドン大学附属精神医学研究所のジュリアン・レフ教授のもとに留学し社会精神医学を学ぶ。地域精神保健に関心を持ち、平成11年度~14年度まで、宮城県と仙台市のケアマネジメントモデル事業検討委員等を務めた。平成14年10月より、国立精神神経センター精神保健研究所社会復帰相談部援助技術研究室室長。社会活動は、日本精神神経学会「統合失調症に対する偏見と差別をなくすための特別委員会」委員、日本病院・地域精神医学会「地域精神保健福祉システム検討委員会」委員など。
あさかホスピタル
昭和31年1月29日生まれ
昭和57年3月 慶應義塾大学医学部 卒業
昭和57年4月 慶應義塾大学精神神経科医局 入局
昭和58年5月 精神医学研究所付属東京武蔵野病院 勤務
平成2年3月 慶應義塾大学大学院医学研究科神経精神科学 卒業(医学博士)
平成4年6月 米国 コロンビア大学公衆衛生学大学院病院管理学科 卒業
平成4年7月 あさかホスピタル院長
平成12年8月 医療法人 安積保養園 理事長 / 社会福祉法人 安積福祉会 理事長 / 社会福祉法人 安積愛育園 理事長
平成8年4月 日本精神科病院協会 指定医研修委員会委員(平成14年3月迄) / 社団法人 郡山医師会 理事
平成12年1月 厚生労働省 医道審議会臨時委員 医師分科会員
平成12年6月 郡山ケア会議会長
平成12年12月 社会福祉法人郡山社会福祉事業団理事 / 社会福祉法人郡山社会福祉協議会監事
平成14年4月 日本精神科病院協会 病院管理委員会委員 / 慶応義塾大学医学部精神神経科教室 非常勤講師
クボタクリニック
長野県生まれ
昭和49年3月 国立金沢大学医学部卒業 同年 東京医科歯科大学精神神経科研修医
昭和50年11月 福祉法人ロザリオの聖母会 海上寮療養所勤務
昭和54年1月 東京都立墨東病院精神科救急病棟勤務 この時日本で最初の精神科救急開始
昭和56年4月 憩いの場「友の家」設立 日本で最初に公的補助金を受けたクラブハウス その後平成3年「おいてけ堀精神保健協会」に発展
昭和61年4月 クボタクリニック開業
平成2年12月 デイケア併設のクリニック新築
平成9年12月 錦糸町クボタクリニック開設
日本精神神経科診療所協会副会長 / 東京精神神経科診療所協会会長 / 日本集団精神療法学会常任理事 / 日本デイケア学会理事
東京都立多摩精神保健福祉総合センター
1970年、鹿児島大学医学部付属保健婦学校卒業。
東京都の大田区大森保健所に就職。以来高井戸保健所、八王子保健所など都内8箇所の保健所で結核対策、母子保健対策、精神保健対策などの保健師活動経験後、現在の多摩総合精神保健福祉センターに平成15年4月に赴任する。
平成9年の保健所再編の際、精神の専任制度ができ町田保健所、多摩立川保健所で精神保健対策係長(専任)として実務にあたった。
今回は30余年の保健師活動の中で専任時代の特に多摩立川保健所で実践、実感したことを主に報告する。