事業案内

研究事業部

2022(R3)
令和3年度 厚労省補助金事業
電話相談、SNS 相談、自殺未遂者支援等の自殺対策事業を効果的に行うための
事業構築コンサルテーション及び相談対応に対するスーパーバイズ事業

2008 (H20)
厚生労働省障害者保健福祉推進事業【障害者自立支援調査研究プロジェクト】
『女性のためのうつ病からの社会復帰支援モデル事業』
(正式名称「うつ病からの社会復帰支援のための通院・在宅医療、福祉連携強化モデル事業」)

平成20年度 要約   読む▼ 閉じる▲

要 約

 うつ病は生涯有病率の高い疾患であるが、その中には遷延するケースが少なくない。遷延うつから社会復帰するためには、専門の支援が必要であると思われるが、現在行われているうつに対する社会復帰プログラムとしては、リワークプログラム(復職支援)が普及し始めたばかりである。しかし、リワークプログラムには職業を持たない方、家庭の主婦やアルバイトの女性などは乗りにくいまた、女性には、仕事だけ無く、家事、育児、近所付き合い、趣味、などの多様な役割や活動領域を持っており、支援方法や支援場面を画一的にできない難しさがある。

 そこで、「遷延うつの女性」を対象とした社会復帰プログラムを構築するための試行研究を行った。

 6つの医療機関において14 ケースの試行的支援を実施した。1 ケースを除いて、3 ヶ月の試行的支援を完遂することができた。支援を始めるにあたっては“うつサポーター”がアセスメントを行い、疾病や生活の状況、本人や家族の意向を確認し、対象者の課題を明らかにし、支援計画を立てた。支援の内容は、①ケースワーク面接のみ、②ケースワーク面接+デイケア・ショートケア、③デイケアのみ、④個別認知行動療法、⑤入院治療、に大きく分けられた。

 支援の効果は、うつ症状の評価尺度HAM-D と、うつ病の社会機能評価尺度であるSASS を利用して評価した。支援の前後に全ての評価尺度を実施できた11 ケースのうち、1 例を除いてHAM-D とSASS の両方に有意な改善が見られた。HAM-D よりもSASS により大きな変化が見られ、今回の支援が主に社会機能の改善に役立つこと、社会機能の改善ほどではないが、うつ症状の改善にも効果があることがわかった。

 今回の支援は、①心理的サポートと②生活上の問題解決サポートの二つを併せた支援、即ち、心理社会的支援であった。社会や家庭において孤立し、さまざまな問題に直面した遷延うつの女性に対しては、心理社会的支援が必要と結論づけられた。

 今回、支援のために実際に利用した社会資源は医療機関が提供する、うつに特化したデイケアやショートケア、カウンセリングルームなどに限られていた。今回利用できるように準備していた福祉施設や訪問介護やベビーシッターなどは、利用を勧めても、手続きが煩雑、費用が掛かる、などから本人が利用に抵抗を示したために利用されなかった。

 今回の支援は、各ケースを担当する“うつサポーター”が中心になって行われた。“うつサポーター”が担った役割は、①心理的サポート、②アセスメント、③サービス計画の立案と調整、であった。今回の支援では、これらの役割を“うつサポーター”がすべて担ったが、振り返ってみて、一部の役割(アセスメント)は別のスタッフが分担した方が良かったと考えられるケースもあった。

 うつサポーターが中心になって行った支援に要した時間は3 ヶ月で一人あたり平均約7 時間半であった(デイケア、ショートケア、個人認知行動療法に要した時間を除く)。少ないコストで大きな成果が得られることが分かった。

2007 (H19)
厚生労働省障害者保健福祉推進事業【障害者自立支援調査研究プロジェクト】
『地域で生活する精神障害者の緊急対応ニーズに関する調査』

平成19年度 要約   読む▼ 閉じる▲

要 約

  1. 地域で生活する精神障害者の緊急対応ニーズを明らかにするためにアンケート調査を行い、「当事者本人」から1745件、「家族」から1825件、「医療機関・福祉施設・行政機関など」から1080件の回答を得た。
  2. 精神障害者の8割が、最近の1ヶ月の間でも、精神症状や身体症状に関連した様々な「困ったこと」を経験していた。「困ったこと」は、「外来受診」「家族の説得や助言」「本人自身」「電話相談」の順で対応されていたが、対応出来なかった場合も1割あった。「外来受診を容易にする」「家族がより良い対応をできるようにする」「本人の解決力を強める」「電話相談出来る」ことが基本として重要であること、対応出来なくて緊急対応が必要になる場合が少なくないことが分かる。
  3. 「最近1~2年で最も困った出来事」では、公的救急システムの利用は、本人0.3%、家族3.2%、施設7.2%と極めて少なかった。ほとんどは、かかりつけ医、かかりつけ以外の通常医療機関、一般科医療機関など、公的救急システム以外で対応されていた。公的救急システムの利用度が低いのは、認知度が低いこともあるが、公的救急の使い勝手の悪さや、利用することへの不安や抵抗感も大きく関係していると思われた。
  4. 本人と家族の緊急対応ニーズは、普段の心理教育や啓発活動、予防対応、日中の相談、定期的訪問、夜間休日の電話相談、緊急時の訪問、移送サービス、レスパイトハウスなどを充実させ、出来るだけ、かかりつけ医や顔見知りの機関など「公的救急システム以外の緊急対応」で対応してもらうことである。他で対応してもらえない場合に「公的救急システム」の利用を希望するが、もっと使い勝手を良くしてもらいたいと考えている。
  5. 医療機関や福祉施設や公的機関は、「地域連携(病病連携、病診連携、医療と福祉の連携、福祉相互の連携)」「診療情報不足を補う仕組み」「(一般科病院で精神障害者が身体の受診ができるように)精神障害への偏見をなくすための活動や仕組み」などを充実させて、出来るだけ「公的救急システム以外の緊急対応」で対応出来るようにしたいと考えている。「公的救急システム」には、「自傷他害の恐れが強いケース」「24条と医療保護入院の谷間に落ちるケース」「身体合併症のケース」など、対応が難しいケースに必ず対応してもらいたいと考えている。
  6. 最もニーズの多かった「日中の相談」「夜間休日の電話相談」について検討した。両者とも未整備であり、とりわけ「顔の見える関係で相談出来る仕組み」が不足している。
  7. 診療情報不足を補うためのツールとして「(急な診療に役立つ)オレンジノート」を考案した。公的救急の窓口の広報も兼ねた「東京版」を試作した。

2008 (H20)
厚生労働省障害者保健福祉推進事業【障害者自立支援調査研究プロジェクト】
『医療機関や社会復帰施設が精神障害者の緊急対応を行いやすくするための研究』

平成20年度 要約   読む▼ 閉じる▲

要 約

平成20年度には次の調査を行った。

① 若年精神障害者における緊急対応ニーズ及び受診経路と未治療期間の調査

平成19年度の調査で拾えなかった若年者の救急対応ニーズを調査し、平成19年度の調査を補完した。また、未治療期間と受診経路等の実態を明らかにした。

② 精神科診療所の精神科救急での役割についての調査

地域で最も数が多い精神科診療所が、救急医療で現在どのような役割を担っているのか、今後、公的救急及び公的救急以外の救急医療においてどのような役割を担える可能性があるかを明らかにした。

③ 相談支援事業所が緊急対応について担える役割についての調査

地域の中で、現在、相談や訪問サービスを担っている相談支援事業所が、精神障害者の緊急時の対応で現在どのような役割を担っているか、今後担える可能性があるかを明らかにした。

④ 緊急受診に役立つ情報「オレンジノート」の試用と改訂

救急受診の際に「診療情報の不足を補う仕組みがない」ことが大きな障害になっている。診療情報不足を補うツールとして平成19年度に試作したオレンジノートを平成20年度に実際に試用し、救急対応の改善に役立つのかを検証した。また、試用結果から、改訂版を作成した。

上記4つの調査から以下の結論を得た。

16~30歳の349人の統合失調症通院患者から回答を得た。その結果、若年精神障害者は、「不安イライラ」「暴力・物を壊す」「死にたい気持ちが高まる」などの困難な状況を壮年の精神障害者よりも多く経験していることが明らかになった。そのような困難な状態の時に取っている対応は、「家族に相談」が最も多かった。可能なら取りたい対応は、「主治医やかかりつけに電話相談」が最も多く、ニーズと実態が異なっていた。普段の相談先も圧倒的に家族が多く、家族の負担が大きいことが示唆された。16~30歳の統合失調症通院患者500人の未治療期間の平均は13.1ヶ月であったが、長期未治療であった患者も含まれていたため、ばらつきが大きかった。未治療期間の長短にかかわらず、受診前の相談先は家族が圧倒的に多く、家族の果たす役割が大きいことがわかった。公的機関や学校や職場などへの相談は少なかった。

精神科診療所793ヶ所から回答を得た。9割近くの診療所には精神保健指定医が勤務しており、約4人に1人が措置診察に協力し、1/3の診療所は平日17時以降もしくは休日に診療を行っていた。2008年5月に厚生労働省から通達された精神科救急医療体制整備事業の中で位置づけられている「外来対応型施設」「病院群輪番施設」「常時対応施設」「精神科救急情報センター」に対して、それぞれ約4割から5割の診療所が、医師の出向、オンコールによる相談、自院の参画などによって協力できる可能性があると回答した。また、地域の救急病院への精神科コンサルテーションについても、48%の診療所がオンコールなどで協力できる可能性があると回答した。但し、協力するためには「対応できないようなケースが来た場合のバックアップ体制」や「協力しやすい時間帯」「業務範囲の限定」などの条件が何れも挙げられていた。

232ヶ所の相談支援事業所から回答を得た。84%が平日17時以降も電話相談を受けており、23%が24時以降も対応していた。日祝も相談に対応している事業所は69%であった。24時以降も電話対応をしている事業所は、対応していない事業所に比べて、利用者の「不安イライラ」「死にたい気持ちが高まった」などの困難な状況を多く体験していた。8割異常の相談事業所は、利用者の緊急時には、日中であれば「かかりつけ医への連絡」や「職員が自宅へ訪問」などを行っていた。しかし、夜間はそれらの対応は難しく、「職員に携帯電話を持たせて相談を受ける」「非番職員の招集」などによって対応しているところが多いが、夜間や休日には対応手段がない事業所が17%前後あった。相談支援事業所が緊急対応の役割をもっと担っていくためには、「人手不足」や「症状悪化への対応スキル」、「地域連携による他施設の協力」などの課題があることがわかった。

オレンジノート約3000部を、家族会や医療機関、福祉施設に配布した。試用後のアンケートには、患者72名、医師43名から回答を得た。患者・医師ともに、ノートは記入しやすく、有用であるとの回答が多かった。しかし、患者は「医師が忙しいので頼みづらい」と回答が目立った。情報更新やサイズなどの利便性、診療報酬点数化が課題としてあげられた。また、精神医療や福祉、行政などの専門家で検討会を行い、改訂を行った。高齢者等を対象とした国内外の同様の取り組みを参考に、本人や家族、支援者、医師などが記載し、自宅の冷蔵庫に専用容器にて保管するノートと、本人が携帯する緊急時の連絡先を記した名刺大のカードの二つに分割した改訂版を作成した。

2007 (H19)
厚生労働省障害者保健福祉推進事業【障害者自立支援調査研究プロジェクト】
『精神科診療所の社会参加サポート機能に関する研究』

  • アンケート調査(委託)

2005,2006,2007 (H17,H18,H19)
厚生労働科学研究費補助金 子ども家庭総合研究事業
【子どもの心の診療に携わる専門的人材の育成に関する研究】

分担研究『子どもの心の診療ができる一般精神科医の育成に関する研究』

主任研究者 : 柳澤 正義 (日本子ども家庭総合研究所所長)
分担研究者 : 穂積 登 (ほづみクリニック院長)

2005 (H17)
厚生労働省補助事業【未来志向研究プロジェクト】
『高齢精神障害者等の地域生活を支援する標準的サービスモデルの
 支給決定基準の在り方に関する調査研究事業』

2003,2004 (H15,H16)
厚生労働省補助事業【未来志向研究プロジェクト】
『介護福祉サービス事業所における対応困難事例に対して有効な
 精神医学的・法的・介護技術的専門家連携コンサルテーションシステムを
 構築するための調査及び試行的実施』 (略称 MELETEC CC)

※ MELETEC CC : Mental, Legal and Technological Consultation Center

2005 (H17)
厚生労働省補助事業【未来志向研究プロジェクト】
『城西プロジェクト』 - 医療・介護・福祉などの地域連携促進のための交流会