事業案内

第15回シンポジウム

大事例検討会へのお誘い
~3つの自殺企図事例から考える~

第15回シンポジウム 大事例検討会へのお誘い ~3つの自殺企図事例から考える~

 地域の中に、精神保健医療福祉の課題が山積しています。昔からあるが手がついていない課題、社会の変化の中で新たに浮かび上がってきた課題、どれも切実です。

 「精神保健福祉法第41条による指針」や、都道府県の「精神疾患の医療計画」の中で、これらの課題は明確には記載されておらず、対策もあいまいです。

 どのように取り組んで行けばよいのか、3つの深刻な事例を検討することで、知恵を絞ってみたいと思います。

日 時
2014年622日(日) 13:00 - 18:00
会 場
SYDホール
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-25-2  (JR代々木駅 西口より徒歩5分)
定 員
250
参加費
会 員 : 無料
非会員 : 事前申込 ¥2,000 | 当日申込 ¥3,000
懇親会
会員・非会員とも : 事前申込 ¥2,000 | 当日申込 ¥3,000

地域に山積している課題

◆ 短期間で退院となり、すぐに再入院する人が増えている。しかし、退院後3ヶ月未満だと受け入れ先病院を見つけにくくて“医療難民”状態になることがある。

◆ 通院はしているが、社会参加していない人が推計40万人。通所施設を中断した人が多く、その後は家族だけが支え、社会的支援を受けていない。

◆ リストカット、過量服薬、脱法薬物、アディクション、虐待、DV、いじめ、ストーカーが最近の10年間で著しく増加した。

◆ 発達障害の有病率が増加し続けている。ADHDだけでも2.5%。就学支援や就労支援を飛躍的に強化する必要がある。(統合失調症の生涯有病率は0.85%)。

◆ 「メンタルヘルス」で休職した人の過去3年間の復職率の平均値は51.9%。復帰出来る人は二人に一人。退職率は「がん」についで高い。

◆ 一人暮らし世帯が3割を超えている。一人暮らしの人が精神疾患を患うと、一人暮らしでない人に比べて不安定で、自殺率が3倍以上である。

第15回シンポジウムは盛会のうちに終了いたしました。
多数のご参加、まことに有難うございました。

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第15回シンポジウム プログラム

12:00~12:30

NPOメンタルケア協議会 第13回定期総会

12:30~

NPOメンタルケア協議会 第15回シンポジウム

座長
松本 俊彦  国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター副センター長
西村 由紀  メンタルケア協議会理事
論者
西脇 健三郎 医療法人志仁会 西脇病院 理事長・院長
伊波 真理雄 医療法人社団ヒプノシス 雷門メンタルクリニック 院長
原子 英樹  NPO法人多摩在宅支援センター円
 訪問看護ステーション元 事業所長・TACTチーム所長
徳山 尚子  東京都精神障害者家族会連合会(東京つくし会)理事
羽藤 邦利  メンタルケア協議会理事長・代々木の森診療所理事長
指定発言
森川すいめい 陽和病院地域支援室精神科医
12:30~
受付開始
13:00~
開会挨拶

羽藤 邦利 メンタルケア協議会理事長・代々木の森診療所理事長

13:10~13:40

課題提示「精神病院から、今の課題を語る」

西脇 健三郎 西脇病院 理事長・院長

13:40~14:40

事例検討① 孤立した統合失調症

《休憩10分間》

14:50~16:00

事例検討② 虐待を受けて育った摂食障害・薬物乱用

《休憩10分間》

16:10~17:20

事例検討③ 退職に追い込まれた発達障害

17:20~17:50

総合討論

17:55~18:00
閉会挨拶

西村 隆夫 メンタルケア協議会理事・にしむらクリニック院長

18:15~
懇親会〔SYDホール ホワイエ〕

事例① 孤立した統合失調症 …〈51歳男性〉

  • ●26歳時に電波が体に侵入するという体感幻覚と「死ね」という幻聴が出現。それまでは大手機械メーカーの技術者として働いていたが退職。1年間の入院の後、入退院を繰り返しながら両親、弟と同居してひきこもり生活。
  • ●7年前糖尿病を発症。その頃よりイライラがひどくなり、暴力をふるうようになる。
  • ●1年前、父親に暴力をふるって怪我を負わせ措置入院となり、3か月で退院。
    退院時に両親と弟から引き取りを拒否され、世帯分離して一人暮らしになる。
  • ●退院直後から孤立した生活。福祉事務所のケースワーカーや病院に頻回に電話をかけ、距離を置かれるようになる。病院のケースワーカーから通所施設、デイケア等を勧めても、本人は見学をしただけで利用を拒否。
    糖尿病が悪化し、体調不良を訴え、将来への不安が大きくなる。
  • ●4週間前、包丁で腹を切って自殺未遂し、措置入院となる。
    3週間で退院になる。退院直後から病院へ頻回に電話をかけて入院したいと希望。病院は、依存的になるので入院は適応外と断る。
  • ●本日、また包丁で腹を切り自ら警察に助けを求め、再度措置入院となる。

【問題】親の高齢化、独居精神障害者の生活支援、短期で退院、通所サービスの拒否、地域生活支援のキーパーソン不在

事例② 虐待を受けて育った摂食障害・薬物乱用 …〈32歳女性〉

  • ●中学1年生の時に親が離婚し母子家庭となる。
  • ●2年後に母親が再婚。その頃から不登校、摂食障害となる。当時、義父から暴力を日常的に受けていたらしい。
  • ●高校進学するも、3年時に中退。キャバクラで働きはじめ、お店で知り合った男性と同棲。
  • ●25歳の時、同棲相手が覚せい剤使用で逮捕。本人も薬物所持で検挙され、精神科病院で薬物依存の治療を受ける。
  • ●退院後は近所の精神科クリニックに間欠的受診。キャバクラの仕事に戻るが、周囲と馴染めず、転々と店を変える。
  • ●1年前(31歳)から男性と同棲していたが、次第に同棲相手から金銭の搾取や暴力を受けるようになる。半年前、本人の稼ぎが減ったことから男性が帰ってこなくなった。その後、過食嘔吐がひどくなり、眠れないから処方を増やしてくれと主治医に訴えていた。
  • ●3日前、夜の海に入っていくところを通りかかりの人に助けられ、救急搬送される。体重28kg、多数のリストカットの痕、安定剤の過量服薬と多量の飲酒が認められた。
  • ●本日、精神科転院が必要と思われるも受け入れ先が見つけられず、本人も拒否したため、通院先への紹介状を持たされて退院。家族とは連絡が取れず。

【問題】家庭問題、虐待、DV、薬物、摂食障害、リストカット、過量服薬

事例③ 退職に追い込まれた発達障害 …〈35歳男性〉

  • ●小学から高校まで学業成績優秀だったが、こだわると引かなくてクラスメートと激しく対立したエピソードがあった。
  • ●大学法学部を卒業し、大手企業の総合職に就職。一人暮らしで、友人はいない。両親や兄弟とも仲が良いとは言えず、滅多に実家へは帰らない。
  • ●5年前、中間管理職に抜擢され新しい事業の責任者となるが、部下の管理がうまくいかないことをきっかけに、うつ状態となって休職を4回繰り返した。
  • ●1年前にリワーク支援を利用して復職したが、すぐに部署内で部下と軋轢、取引先ともトラブル。再びうつ状態が強まり、欠勤がちになり、間もなく休職期間が上限に達したため退職となる。
  • ●退職後、ハローワークや職業センターなどを利用して再就職を目指していたがうまくいかず、貯金が底をつき、家賃を滞納してマンションの立ち退きを迫られる。
  • ●本日、ハローワークで生活保護を受けるように言われて福祉事務所に出向いたが、対応した職員の態度に腹を立てて帰ってしまう。
  • ●夜になって、公園で首をつろうとしたが怖くなり、警察に駆け込んで自ら保護される。

【問題】発達障害、リワーク、生活の行き詰り、孤立

プロフィール

松本 俊彦 まつもと・としひこ(精神科医)

(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 
自殺予防総合対策センター副センター長)

佐賀医科大学医学部卒業後、神奈川県立精神医療センター、横浜市立大学医学部附属病院精神科、国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部などを経て、H19より同研究所自殺予防総合対策センター自殺実態分析室長、H20より薬物依存研究部室長を併任、H22より現職。日本アルコール精神医学会理事、日本青年期精神療法学会理事など。

西村 由紀 にしむら・ゆき(精神保健福祉士)

(NPO法人メンタルケア協議会 理事)

メンタルケア協議会の法人設立を手伝い、東京都精神科救急医療情報センター、東京夜間こころの電話相談、東京都自殺相談ダイヤルの立ち上げに携わる。

西脇 健三郎  にしわき・けんざぶろう(精神科医)

(医療法人志仁会 西脇病院 理事長・院長)

大阪医科大学卒。長崎大学医学部精神科医局、長崎県立東浦病院医長を経てS57医療法人志仁会 西脇病院 理事長/院長 就任、現在に至る。長崎純心大学院臨床心理非常勤講師、日本アルコール関連問題学会理事、九州集団療法研究会理事、特定非営利活動法人ちゅーりっぷ会長崎ダルク事務局長、全日本断酒連盟顧問、全国薬物依存症者家族連合会顧問など兼任。

伊波 真理雄  いなみ・まりお(精神科医)

(医療法人社団ヒプノシス 雷門メンタルクリニック 院長)

1962(昭和37)年沖縄生まれ。琉球大学医学部卒業後、同附属病院精神神経科、糸満晴明病院にて勤務。1994(平成6)年薬物依存症回復施設のダルクを支援するため上京し、都内の精神科病院勤務を経た後、2000(平成12)年雷門メンタルクリニックを開業。さまざまな依存症/思春期・青年期問題の専門相談を都内の公的機関で継続している他、山谷マック・東京ダルク・寿アルクなどの回復施設の運営に協力している。都立精神保健福祉センターの薬物依存家族教育プログラム担当。

原子 英樹  はらこ・ひでき(看護師・精神保健福祉士)

(NPO法人多摩在宅支援センター円 訪問看護ステーション元事業所長・TACTチーム所長)

H19年4月より千葉県市川市で、国立精神・神経センターACT-Jプロジェクト臨床チーム、日本でのACTプログラム研究事業を行う。H20年4月、訪問看護ステーションACT-J立ち上げ。H23年1月より現職。

徳山 尚子  とくやま・なおこ(精神保健福祉士・介護支援専門員)

(東京都精神障害者家族会連合会(東京つくし会)理事)

中央区精神障害者家族会〈中央区つつじ会)相談員 / 中央区精神障害者グループホーム/ホームつつじ・サービス管理責任者 / 中央区精神障害者地域活動支援センター「ポケット中央」相談員 / 特定非営利活動法人つつじ理事 / 中央区自立支援協議会委員。2000年に中央区の精神障害者家族会に入会、以降、精神障碍者、家族とともに地域の精神障碍者の社会資源の充実に向けて活動中。

羽藤 邦利 はとう・くにとし(精神科医)

(NPO法人メンタルケア協議会 理事長 / 代々木の森診療所 理事長)

京都大学医学部卒。東京大学付属病院、富士病院、東京都立松沢病院、法務省八王子医療刑務所を経て、S58代々木の森診療所開設、現在理事長。その他、日本精神衛生会理事、日本精神神経学会理事、東京精神神経科診療所協会理事などを兼務。

森川 すいめい もりかわ・すいめい(精神科医・鍼灸師)

(陽和病院地域支援室精神科医)

独立行政法人国立病院機構・久里浜アルコールセンターに勤務し依存症患者等と向き合いつつ、埼玉の病院で緩和医療を学んだ。H15ホームレス支援のためのNGO「TENOHASI」を立ち上げ(その後H20にNPO法人化)、代表として東京・池袋で炊き出しや医療相談などを行う。H21世界の医療団東京プロジェクト代表、H26世界の医療団理事就任。他にアジヤやアフリカを中心に約40カ国バックパッカーをしてまわる。著書に「漂流老人ホームレス社会(朝日新聞出版、2013)」。

会場案内

SYDホール

東京都渋谷区千駄ヶ谷4-25-2 (JR代々木駅 西口より徒歩5分)

JAM会員特典のご案内

(シンポジウム参加お申込リンクは下部にございます)

ご入会いただくと…

  • 第15回シンポジウムの参加費が無料になります。
  • メンタルケア協議会が過去に発行した報告書・書籍および今後発行される報告書・書籍が無料で入手できます。
    今(平成26年5月現在)ご入会いただくと、以下の35冊もの報告書・書籍がお手元に届きます。

ご入会時にお送りしている資料の一覧(平成26年5月現在)

シンポジウム報告書
  1. 第14回シンポジウム 急速に変貌している精神科医療と精神保健福祉法の改正 ~精神障がい者の権利をどう守るか~
  2. 法人化10周年記念ミニシンポジウム 大都市における精神科救急と自殺防止を考える ~身体救急との連携、病診連携、自殺防止相談窓口、スーパー救急病棟の活用~
  3. JAM特別研修会「東日本大震災、フクシマとメンタルヘルス」
  4. 第13回シンポジウム報告書「社会的支援が届いていない膨大な数の人たちへの支援を考える」
  5. 第12回シンポジウム報告書
  6. 第11回シンポジウム報告書
  7. 第10回シンポジウム報告書
  8. 第9回シンポジウム報告書
  9. 第8回シンポジウム報告書
  10. 第7回シンポジウム報告書
企業メンタルヘルスを推進するセミナー/企業メンタルヘルスアドバイザー養成講座 報告書
  1. 第7回セミナー/第6回養成講座
    “今時の若者”の心理的特徴を考慮した「職場のメンタルへルス対策」
  2. 第6回セミナー/第5回養成講座
    「働く世代の自殺をどう防ぐか」
  3. 第5回セミナー/第4回養成講座
    「事例を通して考える 働く人のメンタルヘルス」
  4. 第4回セミナー/第3回養成講座
    「うつの回復を早めるには」
  5. 第3回セミナー報告書
  6. 第2回セミナー報告書
  7. 第1回セミナー報告書
  8. 第2回養成講座 報告書
  9. 第1回養成講座 報告書
その他研究事業等の報告書
  1. 平成25年度東京都地域自殺対策緊急強化補助事業「自殺リスクが高い方への同行支援、関係機関との連携、面接相談」
  2. 平成25年度東京都地域自殺対策緊急強化補助事業「働く人の自殺防止とメンタルヘルス向上に役立つ事業所対応手引書と研修プログラム作成」報告書
  3. 平成25年度自殺防止対策事業報告書「東京都における平日日中の精神科救急受信相談と、精神科入院仲介」
  4. 平成24年度東京都地域自殺対策緊急強化補助事業「自殺リスクが高く、各種相談機関や医療機関へつなぐ必要性のある方への同行支援及び自殺リスクが高く、短期間継続して面接相談を行うことで問題解決に結びつく可能性のある方への継続カウンセリング」
  5. 平成24年度厚生労働省自殺防止対策事業「東京都における平日日中の精神科救急受診相談と精神科入院仲介 -メンタルケア・ホットライン-」報告書
  6. 子どものこころ研究会編 中学生・高校生の自殺を防ぎこころの健康を守る ~精神科医から学校へのメッセージ~
  7. 平成20年度報告書「うつ病からの社会復帰支援のための通院・在宅医療、福祉連携強化モデル事業」
  8. 平成20年度報告書「医療機関や社会復帰施設が精神障害者の緊急対応を行いやすくするための研究」
  9. 平成19年度報告書「地域で生活する精神障害者の緊急ニーズの実態調査及び夜間休日緊急対応チームの試行的構築」
  10. 子どもの心を診療するときの参考テキスト
  11. 子どもの心の診療ができる一般精神科医の育成に関する研究
  12. 大都市における精神科救急と自殺防止を考える
  13. 精神障害者の自立支援サービス計画に関する調査研究事業報告書
  14. 精神障害者の自立支援サービス計画事例集
  15. 城西プロジェクト報告書
  16. MELETEC FORUM報告書

※ ご入会の手続きは、会費をご入金いただいた後に完了となりますので、お早めにお願い致します。6/20(金)までに振込確認ができない場合、シンポジウム参加費をいただくことがございます(ご入金が開催日直前の場合、確認のため振込のご利用明細などお持ち下さい。あるいは、シンポジウム当日に現金で入会金をお支払いいただくことも可能です)。

※ ご入会手続き後、シンポジウム参加のお申込みを改めて上の「シンポジウム参加お申込」よりお願いいたします。

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お問合せ

特定非営利活動法人 メンタルケア協議会
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1丁目57番4号 ドルミ第2代々木 2F
TEL:03(5333)6446 メールはこちら

ポスター・パンフレット (PDF)


ポスター

(PDF: 465KB / A3)

パンフレット

(PDF: 2.6MB / A3 2折)